EPAフィリピン人看護師エヴァーさん合格へのプロセス・・・・②

実は、小松本先生とエヴァーさんにお会いするのは初めてだが、お話しするのは二回目である。4月9日にNHKラジオでご一緒させていただいた。とは言え、先生とエヴァーさんは病院から電話で、私はスタジオから話をするということで、会話の接触だけであったが今回お会いしたとき、「先日はどうも」というあいさつで話が弾んだ。

受入れ側と来日候補生が一体となって受験に取り組む、それが大事だと病院が考えた、そして実行した、というのが勝因だと思う。
指導は看護部に任せてありますとか、トップから指令が来たから現場でなんとかしなければとか、日本語学校に通わせてるのに上達しないとか、そういう気持ちが少しでもあると、候補生は敏感に感じ取ってしまう。母国でも日本でも病院はどこでも忙しい職場である。自分もみんなの役に立ちたい、でも資格がない現実。ついつい「手伝ってくれなくてもいいから邪魔だけしないで」、そんな気持ちになってしまう。

足利赤十字にそういう空気はなかった。
それは、後日実際にエヴァーさんたちが使用した問題プリントを郵送してもらったときに、あらためてそう思った。人事課が郵送してくださった物に日本語関係のがない。もしかして入れ忘れたのかと思い、御礼を兼ねて電話した。担当者の方は「いえ、それで間違いありません。あれを何度も何度も繰り返しやったんです。もちろんたくさんあるので全部は送ってませんが」。その自信ある返答に私は感心した。なんかエラそうな言い方で申し訳ないが、院長室だけの動きでなく、事務方もエヴァーさんの配属先であるICUもみんな何をしているか知っている。なにをしなければならないか目的が共有されている。エヴァーさんは「自分は病院のみんなから必要とされている」といつも充実した思いで過ごしてきたのだと思った。

そういう信頼関係は、たとえばマスコミがEPAスキムを批判していようとも、だから自分はできなくても仕方ないんだ、という気持ちは生まれてこない。ここにスキムを乗り越えた受入れの在り方ができあがる。